クラウドワークスは前から気になっていた企業でしたが、久々に見てみると株価が落ち着いてきているので詳細分析してみようと思いました。
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1.最重要KPIである総契約額の伸びはどうなっているのか?
- 2013年9月期(合計5.1億円)
- Q1:0.6億円
- Q2:1.0億円
- Q3:1.4億円
- Q4:2.1億円
- 2014年9月期(合計15.9億円)
- Q1:3.0億円
- Q2:3.5億円
- Q3:4.1億円
- Q4:5.3億円
- 2015年9月期(合計28.1億円)
- Q1:5.2億円
- Q2:7.0億円
- Q3:7.0億円
- Q4:8.9億円
- 2016年9月期(合計45.8億円)
- Q1:9.9億円
- Q2:11.3億円
- Q3:11.6億円
- Q4:13億円
- 2017年9月期(合計63.2億円)
- Q1:13.8億円
- Q2:15.1億円
- Q3:16.4億円
- Q4:17.9億円
- 2018年9月期(合計110億円~)
- Q1:23.3億円
- Q2:29.6億円
- Q3:28.7億円
- Q4:??
とても順調に過去5年くらい伸び続けています。
2.そのほかの成長指標はどうなっているか?
- 累計ユーザー数: 2018年6月末で203万人、前年同月比+56万人
- クライアント数: 25万社、前年同月比+6.5万社
こちらも順調に伸びています。また昨今の働き方改革、副業の解禁、女性の就業意識の更なる高まり、シニア人材の活用、年金改革によりこれからはより働く期間が伸び、働く人が増えることを考えると、雇用の流動性も高まっていくことが確実です。まだまだ中長期で伸びていく事業。
①クラウドワーカーと、クライアントの企業数の推移は?
期間 | Worker (万人) |
前年比% | 前年比増(万人) | Client (万社) |
前年比% | 前年比増(万社) |
Mar-14 | 13.7 | - | - | 2.5 | - | - |
Jun-14 | 18.3 | - | - | 3.2 | - | - |
Sep-14 | 22.5 | - | - | 3.9 | - | - |
Dec-14 | 26.9 | - | - | 4.6 | - | - |
Mar-15 | 50 | 265% | 36.3 | 7.5 | 200% | 5 |
Jun-15 | 58 | 217% | 39.7 | 8.7 | 172% | 5.5 |
Sep-15 | 73.7 | 228% | 51.2 | 10.6 | 172% | 6.7 |
Dec-15 | 79.6 | 196% | 52.7 | 11.1 | 141% | 6.5 |
Mar-16 | 86.4 | 73% | 36.4 | 12.3 | 64% | 4.8 |
Jun-16 | 96.8 | 67% | 38.8 | 13.2 | 52% | 4.5 |
Sep-16 | 105.2 | 43% | 31.5 | 13.8 | 30% | 3.2 |
Dec-16 | 117.2 | 47% | 37.6 | 15.3 | 38% | 4.2 |
Mar-17 | 132.1 | 53% | 45.7 | 16.2 | 32% | 3.9 |
Jun-17 | 147 | 52% | 50.2 | 18.5 | 40% | 5.3 |
Sep-17 | 154.9 | 47% | 49.7 | 20.6 | 49% | 6.8 |
Dec-17 | 173.9 | 48% | 56.7 | 21.9 | 43% | 6.6 |
Mar-18 | 188.9 | 43% | 56.8 | 23.3 | 44% | 7.1 |
Jun-18 | 203.3 | 38% | 56.3 | 25 | 35% | 6.5 |
とても順調に伸びていると思います。
②次に、クラウドワーカーとクライアントのリピート率を見てみました。
- 両方とも、2013年9月期は43%前後
- これは契約額のうち43%は過去に利用したことのあるワーカー、クライアントが作っているということ
- 2017年9月期では、両方とも83%くらいまで右肩上がりで成長していました。
1年前の段階で、83%が既存クライアント、既存ワーカーが作る契約額となります。
③SaaSビジネスモデルだと言っています
- SaaSとは、Software as a serviceの略です。
- 昔は1回ソフトを売って終わりだったのが、近年はサブスクリプション型の課金モデルでソフトもサービスとして提供して、毎月課金する形のビジネスが増えてきています。
- クラウドワークスも、既存クライアントを新規獲得すれば、平均すると継続的にリピートしてくれるので、どんどんとベースとなるストックが積みあがっていくビジネスだと言っています。
- 実際に、1社獲得コストは1ヶ月目で回収でき、1年間では獲得コストの22倍の営業収益を取れるとIR資料に書いてあります。
即ち、新規クライアントを取れば取るほど、ベースが積みあがっていく。しかも取るためのかけるコストはすぐに回収でき、年間では22倍もの営業収益をもたらせてくれるということで、新規クライアント獲得を加速させていくと思われます。
上記は2017年9月期の決算で言っており、その結果として、2018年9月期は総契約額が63億円→110億円へと+74%成長しているのだと思います。
3.クラウドワークスがこの1年くらいで買収した会社、事業について簡単に調べてみました。
- 変なところを高値で買ったりはしていないか?だけが気になったためです。
A)電縁
- 100%取得
- 2017年12月期で、純資産2.5億円、売上23億円、営業利益6600万円
- 取得価格が約9.6億円
- 事業内容: ブロックチェーンテクノロジー(分散型台帳技術)を利用したシステムの開発、コンサルティング事業
- 目的: クラウドソーシングシェアリングエコノミー全般における報酬のやりとりは大きなパラダイムシフトを迎えると予想
どこまで技術力があるのか?はわかりませんが、まあ、目的はわかるので良いかと思います。
B)Graviee
- 事業内容: クリエイティブ領域のフリーランス向けに、週3日からの仕事をコンセプトとした「3スタ」を提供
- 取得価格: 6100万円で、51%の株式を取得
これはほぼ同じような事業なので、買収による総契約額の積み上げの一環。取得価格も低いので問題なし。
C)サイタ
- 事業内容: コーチと受講生をつなぐ習い事サービス「サイタ」(本件対象事業)の開発・運営
- 2016年12月期で、売上2.3億円、営業利益5400万円
- 取得価格: 1~2億円と想定される(非好評)
営業利益がこの先もこの規模で続くのであれば、問題なし。またクラウドワーカーのスキルアップ向け講座などでシナジー出せる可能性は十分ある。
特に問題はなさそうです。
4.中期計画は?
- 2020年9月期で、総契約額400億円、EBITDAで20億円
- うち、300億円がシェアリングエコノミー、100億円がFinTech
- 2018年9月期が110億円なので、2年で約4倍への成長を狙っている
仮に50%成長ができたとしても、110億円→165億円→250億円。
60%成長ができたとすると、110億円→176億円→280億円。
シェアリングエコノミーだけでも65%くらいの年率成長が求められている、、。
5.本質的事業価値はどのくらいか?
- 仮に40%成長だとすると、110億円→154億円→215億円。更にFintechはほぼゼロとする。
- EBITDAでは、総契約額の5%として、10億円、純利益で6~7億円。PERが40倍だとして、250~300億円の時価総額。
今の時価総額が220億円。株価が1520円。本当なら、株価1200円くらい、時価総額170億円くらいで買いたいところですが、、。
6.株価の底値はいくらだろうか?
- 2016年9月から2018年3月までの1.5年の平均価格が約1000円です。
- この2年間で総契約額は、2倍以上に伸びており、さすがに1000円を切ることは不祥事でも無い限りは、無いでしょう
- この数日の動きを見ると、1200円台になると急激に買われています。
- なので、底値は1250円くらい。そこを破られても1000円以上は維持すると思います。
今買うと、たぶん▲10%程度しか下がらないと思いますが、最大下落で▲25%という感じです。
7.株価のアップサイドはどのくらいだろうか?
- 仮に2年後、2020年9月期に、中期計画を達成した場合は、総契約額400億円、EBITDAで20億円
- 純利益が14億円として、成長率が40%あれば、PERも40~50倍行くでしょうから、時価総額600億円くらいは行くはずです。
- 今のちょうど3倍。
確率としては、下落する確率は20~30%で、最大下落が▲25%、一方で上昇する確率は70~80%で、最大上昇は3倍程度。
更に、貸し株金利が8%付くので、下がってもナンピンを続けて、貸し株として金利収入を得ながら2年程度待つスタイルで投資しようと思います。
クラウドワークスのほかの分析に興味ある方は以下もご覧ください。
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