
またおもしろい企業を見つけましたので、分析して見たいと思います。
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1.今回は、まずはチャートから
- この1週間で、3100円→1700円まで、▲45%の急落
2.なぜこんなに下がったのか?
- まず、そもそもなぜこんなに上がったのか?を調べてみました。
- 7月くらいまでは、ずっと1200円くらいでボックスの動きでした。
- 7月27日の決算で、第1四半期が営業利益2億円、前年比で5倍になったことで、株価が大きく上がりました。
- この段階で、営業利益8億円、純利益5.6億円、PER20~25倍だとすれば、時価総額112~140億円、株価2000円~2500円に跳ねました
- めちゃめちゃ自然な上がり方です。
- 更に、10月15日にメディアドゥの第2四半期の発表の順調な売上増を受けて、決算期待で3000円まで上げたようです
- そして、なぜこんなに下がったのか?
- マーケットの調整の影響かと思いましたが、マーケットは10月2日から急落しているので、そうではなさそう
- 下がった理由は大きく2つです
- 営業利益の見通しが、たった4.6億円に留まること
- 更に、純利益の見通しが、たった1.0億円に留まること
- この2つが、マーケットが織り込んでいた数字と違いすぎたからです
- まあ営業利益で言えば、メディアドゥの結果を受けて、たぶん10億円を見込んでいたのが半分ですから
だとすると、3170円→半分で、1600円くらいまでは下げます。更にオーバーシュートする可能性もありましたが、26週の移動平均線あたりでバウンドしたようです。
3.次に普通に企業分析をしてみたいと思います。
A)まずは過去のパフォーマンスです
- 売上の推移
- 2016Q1: 22.2億円
- 2016Q2: 23.2億円(ブークス取り込み分を除く)
- 2016Q3: 25.5億円
- 2016Q4: 26.3億円
- 2017Q1: 26.7億円
- 2017Q2: 29.6億円
- 2017Q3: 32億円
- 2017Q4: 30.6億円
- 2018Q1: 32.8億円
- 2018Q2: 34.2億円
年率15%くらいで順調に伸びています
- 書籍の取扱冊数
- 2016Q2: 50万冊
- 2017Q2: 61.6万冊
- 2018Q2: 73.5万冊
年間12万冊くらいのペースで伸びています。月間1万冊ペースですね
- 会員数の推移
- 2016Q2: 新規4.3万人、既存126万人
- 2017Q2: 新規3.8万人、既存144万人
- 2018Q2: 新規6.0万人、既存161万人
新規の伸びが加速している気がします。とても良いです。
B)なぜ、営業利益が10億円行かず、4.6億円しか行かないのか?
- 普通に決算資料で説明していますね。
- 想定は9億円くらいだが、減価償却の加速で▲1.4億円、新サービスへの投資で▲3.0億円、残りが4.6億円とのこと
更に減損を▲2.8億円計上するので、純利益も1.0億円まで落ち込みます。
例によって、投資フェーズのため営業利益を抑制している感じです。ロコンドと同じ。
C)最後に念のため、売上の内訳の推移を確認したいと思います。
- 左から、①電子書籍配信、②電子書籍提供、③クロスメディア事業です
- 2016Q1: ①11.8億円、②0.7億円、③9.7億円
- 2016Q2: ①13.5億円、②0.7億円、③13.4億円
- 2016Q3: ①14.6億円、②0.8億円、③10.2億円
- 2016Q4: ①14.0億円、②0.8億円、③11.5億円
- 2017Q1: ①14.7億円、②2.2億円、③9.8億円
- 2017Q2: ①15.6億円、②4.2億円、③9.8億円
- 2017Q3: ①15.5億円、②4.2億円、③12.2億円
- 2017Q4: ①13.4億円、②4.5億円、③12.6億円
- 2018Q1: ①16.0億円、②5.7億円、③11.1億円
- 2018Q2: ①18.6億円、②6.0億円、③9.5億円
③の紙書籍・DVD事業は将来性があるとは思えないので、①と②が伸び続けていれば問題ないと思います。
ファンダメンタルには、とても順調な会社ですね。
4.現在の事業価値はどのくらいが妥当か?現状は割安なのか?
- 仮に新規投資しなければ、営業利益9億円、純利益で6~7億円出ます。
- PERが20倍は最低あると思うので、最低で130億円程度の時価総額
- 最大では、PER25倍、純利益7億円で計算すると175億円
- だとすると、適正株価は、2340円~3140円です。まあ、2500円という所でしょうか、。
現状は、1800円の株価であれば、▲28%程度割安です。
バフェットによると、株価の安全域を30%確保すべきなので、1800円を切れば、まさに買いですね。
そもそも成長に投資しているということは、来年は営業利益が9億円を大きく越える可能性があるので、1800円でも買いだと思います。
5.もう1つだけ、2018年4月~6月期から、なぜ急に営業利益が数倍にも跳ねたのか?を調べてみました。
やはり、マンガ村閉鎖の影響のようです。
1.4月17日にマンガ村のサイトが閉鎖
- 著作権に関する違法性が指摘され、国会で物議をかもし出したため
- 4月13日に政府が、「インターネット上の海賊版サイトに対する緊急対策(案)」を発表
2.その結果、実際にマンガの売上が増えたようです
- 漫画家のツイートがいくつかあります。
- 曰く、印税が10倍にもなったと。急に5月から、、。
ということで今まで漫画村で無料で読んでいたヒトの一部が、買ってでも読むようになり漫画の売上が増えたようです。
あとは、競合とのシェア争いですね。とてもたくさんの企業が参入しているので、イーブックがその中でシェアを維持、伸ばしていけるのか?が今後の見所かと思います。
その中で、広告投資やアプリ、ヤフーとの提携などでシェア拡大を狙う取り組み自体は、とても良いと思います。たぶん、今攻めないと負けると思うので。
イーブックジャパンの分析に興味のある方は以下の記事もご覧ください。
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