黒鉛電極の需要を牽引する中国の電炉化政策の状況は?

この先どこまで黒鉛電極の価格が上昇する、あるいは少なくとも維持されるか?を予測するために、今回の黒鉛電極価格高騰の引き金となった中国の電炉化政策について調べてみました。

1.なぜ、中国は電炉化政策に踏み切ったのか?

  • とても驚いたのですが、マッキンゼーのレポートがそれなりの影響を与えているかもしれません。すごいですね。
  • さて、まじめな理由はいくつもあります。
    • まず、中国が今後、大量の鉄スクラップが出てくる見通し。もうインフラの近代化が十分成し遂げられ大量の鉄が使われているので、今後はその置き換えで、大量の鉄スクラップが出てくる
    • 次に、電力供給量が十分あるため。昔は電力不足だったが、今は十分ある、もしくは地域によっては過剰
    • 更に、環境汚染がひどすぎる。PM2.5によるスモッグは有名な話
    • 1711月の「鉄鋼グローバル・フォーラム」(全33カ国・地域が参加)で過剰生産対策が論議となり、中国は20年までに1億4千万㌧の生産能力削減を公表した。これが地条鋼の撤廃に繋がる。

ということでまとめますと、昔と違って、電炉で必要となる電力や鉄スクラップが十分ある。そして環境汚染はひどい。なので、高炉ではなく電炉という時期到来、ということのようです。

2.実際に、電炉生産は拡大しているのか?

  • 中国で電炉鋼の生産が急増している。2017年の生産は7749万トンと前年比32・6%増え過去最高を記録した。電炉の能力は18年に前年同様3000万トン以上増える見通し
  • 江蘇沙鋼集団・沈文栄主席は、1712月中国冶金報で「18年に中国の電炉は100120基増え、生産能力は20004000万㌧増。電炉能力は向こう2年間で合計8000万㌧~1億㌧増える見込だ」
  • 電炉化促進政策=工業情報省は1813日、CO2削減対策を兼ねて、高炉企業の電炉企業の転換を奨励する方針を発表した。鉄鋼産業能力置換実施弁法でも「高炉・転炉から電炉への切り換えは等量置換が可能」と定めた。高炉⇒新高炉への置換だと等量ではなく、30%ほど生産能力を削減する必要があるようです。そのため、生産キャパを維持したい鉄鋼メーカーは高炉⇒電炉にせざるを得ない状況。ということで、中国は電炉へのシフトを鮮明にしたとのこと

電炉生産が、2016年が、たぶん6000万トンくらい。2018年には1億トンを越え、更に増え続けるようです。

2016年で世界の粗鋼生産量は16億トン、うち中国が約半分の8億トンあるとのこと。

3.世界で電炉生産量はどのくらい増えるのか?

  • 世界全体では、電炉鋼比率は25%。すなわち、全体16億トンのうち、4億トンが電炉生産
  • 中国政府も国内メーカーに電炉への転向を促し、1割に満たない電炉鋼比率を20%まで高める方針だ
  • 短期的に、中国は電炉生産を10%上げる、すなわち8000万トン程度拡大する方針(2~3年以内に、ですね)

だとすると、電炉生産は、4億トン⇒4.8億トンに増えるので、年率10%程度需要が増えると見てよいでしょう。

  • 黒鉛電極の生産量は、中国が50万トン(但し低品質?)、中国以外の世界が80万トン

更に、世界鉄鋼協会は電炉鋼比率が2035年前後に50%程度まで上昇すると予測しています。

  • 今から17年で、25%⇒50%ということは2倍
  • 年率4%くらい生産量を増やしていく必要がありそうです。
  • 当然黒鉛電極も年間4%ほど供給量を増やす必要があり、80万トンx4%=3万トン
  • 毎年3万トンくらいは需要が拡大し続ける前提のようですね。

需要側は、間違いなく増え続けるようですね。

あとは、供給側がどうなるのか?を調べてみないとわかりません。供給側で現状わかるのは、

  • グラフテックが今年3万トン、来年も3万トンくらい増やせる予定?
  • 昭和電工は今年1万トン、来年2万トン、増やす予定でしたね。2社で合計、2年で9万トンほど増えますね。

高品質の黒鉛電極の生産キャパが増強するまでに、どのくらいの年数が必要なのか?をまた今度調べてみます。とりあえず今わかることを少し。

  • 過去、何度も失敗を繰り返したので、黒鉛電極メーカーは簡単には生産能力を拡大しなそう。
  • そもそも、原料であるニードルコークスの生産拡大余地乏しい。あくまで副産物なので。
  • 更に、EVからの需要が拡大する可能性は高く、ニードルコークスは減ることはあっても増えることはなさそう。
  • 黒鉛電極の生産キャパを拡大すると言っても、さすがに中国でも2~3年はかかるはず。アメリカは審査が厳しいので4~5年はかかるらしい。

これだけ見ても、そもそもニードルコークスの生産量がボトルネックになって、供給は簡単には拡大できそうにないみたいですね。良かった!

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